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スワローの記憶 〜4月10日、風に舞う予感〜

俺は横浜市泉区、いずみ中央の現場にいた。

依頼内容は、ゴミ置き場のネットがカラスに突かれて困っている、というもの。

現場に着くなり、猛烈な突風が俺を襲う。

立っているのもやっとの強風に、思わず空を仰いだ。

「どうなってんだ? 地球……」

異常気象なのか、それとも春の悪戯か。

吹き荒れる風の中でネットのサイズを確認し、カラス軍団との知恵比べに思いを馳せる。

丈夫なワイヤーを入れるか、それとも重りをつけるか。

プランを練る間も、風は容赦なく俺の作業服を叩き続けた。

ひと通りサイズ確認を終え、風を避けて一息つく。

ルーティンになっている「CMふくびき」を消化するために、スマホを取り出した。

画面の中で宝箱が跳ねる。

現れたのは……「ツインスワロー」。

星4の武器。

実戦で使うには少し心もとない、売却設定済みの常連さんだ。

「ああ、お前か」

そう呟き、いつものように画面を閉じようとしたその時。

記憶の断片が、風に乗って蘇ってきた。

「ツインスワロー……。そうだ、思い出した」

俺は顔を上げた。

視線の先、建物の梁の影に、それ(・・)はあった。

ツバメの巣だ。

そこには、風を凌ぐように静かに身を寄せるツバメの姿があった。

さっき引いた「ツインスワロー」

そして、目の前にあるリアルなツバメの営み。

カラスに狙われるゴミ置き場のすぐそばで、新しい命を育もうとしている小さな隣人。

強風に煽られる俺たち人間を余所に、彼らは彼らの現場で、ただ必死に生きていた。

偶然か、それとも何かの啓示か。

ツインスワローの売却ボタンを押す指が、ほんの少しだけ、いつもより軽かった気がした。

■ 今日のまとめ

いずみ中央の風は、もはや「春一番」のレベルを超えている。

ゴミを狙うカラスと、巣を守るツバメ。現場は常に弱肉強食だ。

ガチャで「ツインスワロー」を引いた直後に本物のツバメに出会う確率。

リアルなツバメの方が、星5武器よりずっと「当たり」な気がした。

明日は風が止んで、カラスもおとなしくしてくれることを願う。



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