綱渡りの羽沢横浜国大と、謎肉の祝福 〜4月11日〜
先週に続き、立体駐車場改修に伴う消火ガス処置のため、明治神宮へと向かう。
家で用を済ませ、体調は万全。
そう思っていた。
羽沢横浜国大駅のホーム。
電車を待つ間、腹の奥に微かな違和感が走る。
「……まあ、大丈夫だろう」
その過信が、後に死線を彷徨うことになるとは知らずに、俺は電車に乗り込んだ。
だが、進むごとに違和感は確信へと変わり、確信は恐怖へと変わる。
どうにも変だ。
このまま乗り続けるのはあまりにリスクが高い。
俺は本能に従い、隣の新横浜駅で緊急下車した。
しかし、駅のトイレはあいにくの満室。
「待つ」という行為が、これほどまでに過酷だったことがあっただろうか。
押し寄せる猛烈な波。
あのまま電車に乗っていたら、間違いなく俺の尊厳は明治神宮と新横浜の間で散っていただろう。
間一髪、文字通り「命拾い」をした俺は、冷や汗を拭いながら現場へと向かった。
午前中のミッションを無事にこなし、事務処理のために事務所へ戻る。
精神的な消耗も激しかった今日の昼飯に選んだのは、迷うことなく「カップヌードルBIG」だ。
お湯を注いで3分。
蓋を開けた瞬間に立ち昇る、あの独特なジャンクで食欲をそそる香り。
これだ。これこそが、数多の現場を支えてきた王者の風格だ。
まずはスープを一口。
醤油ベースの安定した旨みが、冷や汗をかいた体に染み渡る。
そして、久々に再会した「謎肉」。
噛み締めるほどに溢れ出すジューシーな旨みと、スープを吸って絶妙な柔らかさになったエビ、そして彩りを添える卵の三位一体。
BIGならではのボリューム感が、午前中の「あの戦い」を勝ち抜いた俺への最高のご褒美になった。
結局のところ、一周回ってここに辿り着く。
まさに「原点にして頂点」の一杯だった。
午後は、川爺のところの消防点検。
鍵を開けるために久々に菊名の現場を訪れたのだが、絶句した。
漏水が、あまりに酷い。
おそらく3年は放置されているのではないだろうか。
壁を伝い、床を濡らし続ける水の跡は、建物の悲鳴のようにも聞こえる。
だが、こればかりは俺の範疇を超えている。
「……これは、どうしようもないな」
やるべきことだけを済ませ、見て見ぬふりをするしかない虚しさを抱えながら、俺は現場を後にした。
一日の終わりに、期限の迫っていた「★5確定ふくびき」をまとめて消化する。
断頭台の不気味な輝きを見つめながら、ふと思う。
今日、新横浜で降りる決断をしていなければ、俺の人生も文字通り「断頭台」に送られていたかもしれない。
そう考えれば、この結果も悪くない。
新横浜駅は、俺の尊厳を守ってくれた聖地になった。
カップヌードルBIGは、疲れた心と胃袋を裏切らない。
菊名の漏水は、もはや一つの「滝」になりつつある。
確定枠の虹箱よりも、無事に一日を終えた安堵感の方が輝いている。
明日は、お腹の機嫌がもっと穏やかであることを願う。
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